2014年3月31日月曜日

自分はポルシェではなくトヨタカローラである

私は弱い人間であると思う。「あなたの弱みは何ですか?」と聞かれると、何と答えてよいか分からなくなる。緊張しやすいし、人とのコミュニケーションは苦手な方だし、そのくせ見栄張りで、自分のことばかり考えて、そして他人を羨むことだって多くある。でも、そんな自分だからこそ、自分の弱さや“癖”を知り、マネジメントしていくことが、人一倍重要なのだと思う。

「自分はポルシェではなくて、トヨタカローラである」と最近言っている。GSBに多くいる本当に優秀で様々な能力に秀でている人たちはまさにポルシェのようだと思う。それに対して、どちらかといえば平凡で、何か尖ったところもなく、秀でて頭がよいわけでもない自分は、ポルシェと対比してトヨタのカローラのようであると思う。でも、今はそんな自分に劣等感などの嫌な感情は持っていない。それよりも、目的地に向かって真面目に運転していこうと思っている。いくらポルシェでも運転がうまくなければ意味がない。目的地と逆の方向に走ってしまったら、意味がない。もちろんレース場でレースをしたら負けるだろう。しかし、人生には色々な生き方があって、レース場でレースするシチュエーションの方が少ない。ポルシェでしか行けなくて、トヨタカローラでは行けない場所などはそうそうはないと思う。だから、丁寧に、上手に運転して、時には止まってきちんと整備をしてあげて、そうやってゴールに向かってカローラで行こうと思っている。自分自身をマネジメントする重要性はこうした発想ともつながっているのだ。

翻って、留学当初、私は自分がポルシェだと思っていた。世界最難関のMBAに合格して、意気揚々とし、恥ずかしながら自分には無限の可能性が開かれているとさえ思った。しかし、今まで書いてきた通り、MBAプログラムが始まってからは、苦悩の連続だった。そして、自分をポルシェと思い込み、思いっきりアクセルを踏み込みすぎてエンジンを壊してしまったり、レース場でスピード勝負をしたら負けっぱなしだったり、大きな駐車スペースに停めてみたら実は車体が小さいことに気付き恥ずかしい思いをしてみたり、そんなことを繰り返していたと思う。自分をマネジメントするには、まずは自分を知らなければならない。そして、自分を知るということは私にとって、「自分はポルシェではなくカローラなのだ」と知ることだと思った。カローラをポルシェと思って運転していてもうまくいくはずがない。自分はカローラであることを認識し、それに適したスピードで走り、それに適した運転の仕方をし、それに適した駐車スペースを見つけることが重要である。車そのものの性能はもう変えられないかもしれないけど、それをどうコントロールするのか、どうマネジメントするのかは、いくらでも向上の余地がある。そして、自分の強さ、価値は実はこのマネジメントにあるのではないかと思うのだ。今までの人生で自分の弱さを嫌というほど感じてきた。そして、GSBに来てそれがより強いものになった。しかし、日々の様々な努力、工夫で心地よく生きれるようになってきた。それは、自分の弱さを見つけ、心から認めることができるようになったことで、それをマネジメントすることができるようになったからだと思う。私が自動車に例えて、トヨタカローラであると見つけたように、自分はどんな人間なのかを知ることは、人生を良いものにしていく上で、一番の基礎になるべき部分だと思う。



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